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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第10章 *File.10*(R18)


「いらっしゃい、ませ?」

顔を上げて、びっくりした。
男子高校生の黒羽快斗がそこにいた、から。
勿論、目立つ制服姿ではなく、私服姿で。

「よォ。あれから会えたのか?」
「お陰様で。もう色々とバレちゃった?」
「まあ。ってか、あんま似合ってねぇな。その制服」
「…ありがと、かな?」

帽子を被った頭の先から足元まで覗き込んで、そんなセリフを吐かれたけど、こんなダサい制服を着て似合ってると言われても困るわ。
いくらスーパーとは言え、社長のセンスをかなり疑う。

「仕事はもう終わりか?」
「間もなく」
「その後の予定は?」
「ないよ」
「裏口で待ってる」
「分かった」
「じゃあ、また後で」

と、炭酸一本の代金を支払うと爽やかに片手を挙げて、出口へと向かった。

「……」

本来の姿で現れても私には分かるって確信があったってこと、だよね?
ってことは、徹底的に私の身の回りのことを調べあげた上で、姿を見せた。
ホント、参っちゃうわ。
君のその無駄と隙を一切感じさせない、その行動力には。

「ふふっ」

流行り病や風邪の感染防止の為にしているマスクの下で、思わず笑ってしまった。
将来は、警察庁公安に勤務。
なんていかがでしょう?
さぞかし、いいコンビになるのでは?
バディを組んだら、天下無敵なんじゃない?
ねえ?
快斗、ゼロ?


「で、急にどうしたの?」
「やっぱ、ただ者じゃねぇな。雪乃は」
「お褒め頂き、ありがと。私が言ったことは、ホントだったでしょ?」
「マジで超ビビった」
「そっ?」

そう、雪乃は、本当にある日突然この世界にやって来た。
たった、一人きりで。
理由なんて誰にも分からねえけど、それだけがたった一つの真実。
三年前に、証人保護プログラムを受けているのも確認した。
喫茶店のテーブル越しに、雪乃はクスッと笑みを洩らす。
今まで辛いことも哀しいこともたくさんあったはずなのに、そんな感情を見せるどころか悟らせることもさせずに、さも当たり前のように堂々とこの世界で生きてる。
それは相当いや、かなりデキる、あの彼氏のお陰なんだろうな。

「彼氏から、連絡ないだろ?」
「うん」
「理由は…」
「知ってる。連絡はなかったけど、ね。私は…ただ待つことしか出来ないの。この先のことは、私にも何一つとして分からないから」


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