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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第3章 *File.3*


「ハァ、ハァ、ハァ…っ、ハァ」

どうして今日に限って、幼い男の子の迷子発見とか、おばあちゃんをトイレまで道案内するとか、また別のおばあちゃんをケーキ屋に連れて行くとか、一度にたくさんのアクシデントに遭遇するの!
だから私は方向音痴で、基本運動は苦手だっての!ついでに走るのも遅いのよっ!!
これも私をこの世界に飛ばしてくれた神様?の仕業?陣平を助けたいのなら、それなりの代償を支払えと?
だったら、払ってやろうじゃないの!私が出来ることなら、何でもするわよ!!それで、陣平を喪わずにすむのなら!!
その時、予告状に書いてあった正午を待たずに観覧車が一回目の爆発をした。
早くしないと、警察も到着したから陣平が乗り込んじゃう!
72機目の、観覧車に。
騒ぎ慌てふためき観覧車から走り去る、老若男女の客達。
それとは逆に、乗車していた客を全て下ろし無人になった観覧車の周りに集まる、物語の中では見慣れた刑事達。

「いた!」

早く、速く!
一秒でも速く!

『ああ…それなら丁度今下に…』
『おっとと…円卓の騎士は待ってなかったが、代わりに妙な物が座席の下に置いてあるぜ』
『ま、まさか爆弾?!』
『ちょ、ちょっと松田君?!』
『大丈夫…こういう事はプロに任せな…』

「陣平っ!」

佐藤刑事と目暮警部、白鳥警部の隙間を縫って駆け抜けると、観覧車に飛び乗る。

「お、お前っ!死にたいのか?!今すぐ降りろ!!」
「それは無理な相談だよ」
「えっ!?」

気配も無しに私の背後から来た人物は、中へ私を押し込むようにして観覧車に乗り込んできた。

「「「……」」」

こんな狭い、ましてや爆弾が直ぐ傍にある現場で集まると当然、妙な沈黙になるわけで。
だって、此処は観覧車の中。
万が一の時、逃げ場なんかあるわけないんだから。

「何で来た」
「貴方を助けるために」

陣平が静かな口調で訊ねるから、その意思だけはハッキリと伝えた。

「ヘタしたら、此処で三人揃ってオダブツだぞ」
「覚悟の上よ」
「…諸伏は?」
「雪乃に連絡事項があって」

陣平と同じ警視庁の警察官でも景光は公安所属の捜査官だから、変装用のグラサンと帽子を取る。

「わざわざこんな場所ですることじゃねぇだろ」
「これに乗り込むために必死に走ってるのを見てるのに、電話は出来ないよ」
「す、すみません。運動音痴で」


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