第3章 財前光とぽっちゃり女子
四天宝寺中に入学して約2ヶ月、昼休みに財前が鞄を開けると入っているはずの弁当が入っていなかった。
財前「(あかん…弁当忘れた…。)」
仕方ないので購買でパンでも買おうと思い財布を取り出す。
財前「………(嘘やろ…80円しか入っとらんやん………そういえば昨日帰りにCD買って小遣い使い切ってしもうたんや…)」
まだ特別親しい友達が居ない上にテニス部の先輩の謙也達に借りを作るのも癪なのでお金も借りるアテもなく、とりあえず教室に居ても弁当の匂いで余計にお腹が空くため屋上へと行くことにした。
財前「ここなら大丈夫やろ。」
とりあえず昼休みが終わるまで屋上で時間を潰そうとしたのだが……
財前「………ん?なんや……なんかえぇ匂いがする…」
匂いの元を探してみるとそこには1人でお弁当を食べようとしている女子が居た。ちなみに弁当は結構な大きさである。
財前「………随分とデカい弁当やな。」
「えっ!?あれ??いつの間に!?」
財前「さっきから居ったわ。……結構食うんやな?」
「あっ…えっと…これは……今日友達と一緒に食べるつもりだったけど風邪で休みになっちゃったから1人で食べる事になっただけで…」
財前「あぁ…そういう事か………っ!?」
話していると財前のお腹の音がグゥーっと鳴った。
「………あの…よかったら一緒に食べます?」
財前「………えぇんか?」
「はい。流石に1人で全部は食べきれないので。」
財前「……じゃぁ、貰うわ。」
空腹には勝てないので財前は女子のお弁当を分けてもらう事にした。
「沢山あるからお好きなのをどうぞ?」
財前「…いただきます。」
とりあえず卵焼きを1つ食べてみる。
財前「…………ん!?なんやねんこれ!?」
「えっ…ごめんなさい。不味かった??」
財前「ちゃう……メッチャ美味い。」
「よっ…よかったぁ…。失敗しちゃったのかと思った。」
財前「ん?なんや、これお前が作ったんかいな?」
「うん。料理が趣味でね……いつもお弁当は自分で作ってるんだ。」
財前「へぇ………。友達の分もいつも作ってやっとるんか?」