第3章 ❀ story 3❀
「一目惚れって、信じるか?」
そんな彼の言葉を耳にした瞬間、
私は彼への想いを自覚した。
あぁ、私もそうなんだ。
一目惚れをしたんだ。
誠に、誠に恋をしているんだ。
人を好きになることなんて初めてで、
そう自覚した瞬間とてつもない羞恥心が込み上げてきた。
「ーーうん、信じるよ」
そう言うのが精一杯で、
私は繋がれた手を握り返した。
顔に血がのぼっていくのが分かる。
(うわぁ、きっと今、私の顔すごく赤い。恥ずかしい。)
何も言えずにただ俯いて彼の手を握り返していると、
「 菜花 」
と、彼が私の名前を呼ぶ。