第9章 今日の終わりは……
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noside
(眠い…眠い……頭がフワフワする……)
一心はマンションの駐輪場で自転車を止め、エレベーターに重い身体を押し込む
(出久の治癒…上手くいったかな…家に帰れなくなるのは……困る……から…確認……出来なか……った……)
「…………。」
チンッと自分の階を告げる音がなり重い瞼を無理矢理こじ開ける。
壁を伝いながら自分の部屋の玄関前に何とかやってきた。鍵をいつも以上に時間をかけながら見つけ、覚束無い手で必死に鍵を差し込んだ。
ガチャ
いつも以上に重く感じる玄関ドアをこじ開け体を中に滑り込ませた。靴を脱ぐ前に玄関に体を転がし、重い荷物をその辺に放り投げた。
「……はぁ……はぁ……」
視界が歪む
それでも何とか靴を脱ぎ捨て這いずりながら廊下を移動する
(ダメだ…せめて部屋まで……こんな所で寝てたら心配される……また、心配される……)
眠さと気だるさが重くのしかかる。
「お……おき、れ……」
もう呂律が回らず個性が発動出来ずに一心は廊下で力尽きた。
……………………。
『……大丈夫?』
『……??誰だ?』
(真っ暗で何も見えない…声だけが聞こえる)
『君にお願いがあるんだ』
『……願い?』
『君に……えてほしい』
『……?』
『あの…………い』
(段々と声が遠のいていく…!)
『…………ねがい』
『待て!』
………………。
「大事な所何も伝わってないから!!!
…………ら???」
目が覚めると制服を着たまま、自室のベッドに寝かされていた。
(……夢、なんだ……夢かぁ)
タハハ…っと笑ってみるも何故か夢と割り切れない自分自身がいる。ふぅ〜っとため息を吐いてから頭の中を整理する。
(うん、俺は廊下で寝てたわけで…誰かがベッドに運んでくれた……わけで……それが……イレイザーヘッドだった場合…………うん、死☆)
相澤は一心に対して心配性な部分があるため、倒れるとすんごい怖い顔で怒られる。
時計を見てみると二十時を指していた。
(やっば…とにかくご飯食べないと!明日の準備もしてお風呂はいってえーっと!えーっと!)
寝起きの頭を叩き起しながらやる事を必死にまとめる。