第1章 *
私は都内の高校に通う普通の女子高生。
同じクラスの八神太一と付き合ってもう半年になるところだ。
付き合ってから、色々と分かったことがあった。
3歳年下の妹がいること。
隣のクラスの石田ヤマトくんと仲がいいこと。
後輩の面倒見がいいこと。
太一の色んな面を知っていくうちにどんどん好きになっていく自分がいた。
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ある日の放課後、私はいつもの様に太一に「帰ろう」と声をかけた。
いつもだったら二つ返事で答える太一が、その日は少し眉を下げながら手を合わせてこう言った。
「悪い、これからヒカリとヤマトと約束があってさ」
ヒカリというのは、太一の妹のことだ。
「そうなんだ、じゃあ私先に帰るね」
先約があるなら仕方ない。私はヒラヒラと手を振って教室を後にした。
玄関で靴を履き替え、ふと顔を上げると校門のすぐ横に、中学の制服を着たショートカットの女の子が立っていた。
(あ、去年まで私が着てた制服だ…。)
制服を懐かしむように女の子を眺めていると、ばっちり目が合ってしまった。
すると、その女の子が私に向かってぺこりとおじぎをした。
知り合い?と思いながら、おじぎをし返すと女の子が口を開く。
「お兄ちゃんの彼女さん…ですよね?私、八神ヒカリです!以前に写真を見せて貰って、、、すみません!急に話しかけてしまって」
「…あ、あぁ!ヒカリちゃんか!ごめんね直ぐに気付けなくて!」
私がそう言うと、いえいえと手を振りながらヒカリちゃんがこう続けた。
「あの、私いまお兄ちゃんとヤマトさん待ってるんですけど、よかったら一緒にこれからどうですか?」
私は一瞬迷った。太一からは誘われてないのに、そんな私が居ていいものか。
「うーん…」
私が迷ってるうちに、背後から「おーい!」と呼ぶ声が聞こえた。
「あ!お兄ちゃん!」
ヒカリちゃんがそう声を上げ、私もその方向に目をやった。