第3章 加速する想い
人気のない倉庫兼資料室。
「あっ、ゃぁっ、んっ……」
「ああー……そんなに気持ちよさそうな顔で……可愛いっ……っ、っ……」
荒い息を吐きながら、興奮を隠しもせず後ろから責め立てる独歩に揺さぶられながら、声が出ないように耐える。
激しくなる度、我慢出来ずに漏れる声に、背後にいる独歩が嬉しそうに小さく笑う声が聞こえる。
そして独歩は気づいてるのだろうか。
この行為が繰り返される事に、私がそんなに嫌がっていないのを。
元々、独歩は嫌いじゃないし、姿を見れば構いたくなるし、つい世話を焼いてしまう。
でも、正直恋愛感情かと聞かれたら、多分という答えになり、はっきり分からない。
なのに、触れられて嫌じゃないし、彼に求められている事に嬉しさすらある。
それが、体だけだとしても。
いくら人があまり来ないといっても、会社でする事じゃないのに、拒もうとはしない。
「んっ、はぁー……ずっとの中に入ってたい……出たくねぇ……」
欲を放ち終え、私を後ろから抱きしめて呟く。
背中に独歩の温もりを感じながら、私もこのままいれたらと思ってしまって、その思いを消すかのように独歩から体を離す。
「昼休み、終わるよ……少しでも食べなきゃ、独歩また痩せたでしょ?」
明らかに痩せたであろう独歩の頬に触れて肌を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じながら顔を擦り付けてくる。
こういうところは、本当に可愛くて、愛おしくなる。
しかし、こんな痩せて疲れ切った彼の何処から、何処ででも私に襲いかかる力が出てくるのか、本当に不思議でならない。
身なりを元に戻し、ボケっとしている無気力な独歩の格好も整え、手を取る。
「ほら、行くよ」
多分、彼は不思議なんだろう。
現に、戸惑いが顔にありありと貼り付けられている。
それはそうだろう。私がどう思っていようが、彼のした事は本来なら許されないから。
私が普通に接する事に、困惑しているんだろう。
外に出る時間は無いから、とりあえず社食に向かう。
独歩の好きな物は知ってる。よく食べているのを見ていたから。
オムライスを二つ注文し、並んで座る。
「食べないの?」
「あ……うん、いただきます……」