第12章 命懸けの単独行動
トレーボル達はシオンが何も覚えてない、ここで何を見たかも分からないと知ると今すぐ出てくる危機でないと感じ出口へと引き返すように促した。
ぺこりとお辞儀をしてコロシアムを出るために歩みを進める。
先程、潜入した剣闘士たちの控え室を進んでいると
ルーシーと書かれた札を下げてる男が外の人と話しているのが見えた。
(あの人もコロシアムの出場者?)
何故か足が立ち止まった。
気になったとかではなく、ただ止まった。
その直後、彼らの近くで何かがぶつかる音がする。
驚いたシオンも急いで音の出処に目を向けた。
砂埃が撒い、ケホケホと咳き込むが目を凝らしてそれを見る。
黒髪の男が地面に叩きつけられた音らしい。
(だ…れ…?)
その後すぐにピンクの男が現れた。
(……!)
声が出そうになるのを手で抑える。
(ドフラミンゴ!)
そう思った途端、また立っていられないような頭の痛みと共に走馬灯のように記憶が戻ってきた。
(…じゃあ目の前にいるのは…!)
確認しようと鉄格子に張り付く。
ドン
鈍い音が耳の奥をつんざく。
世界が止まったかのようにゆっくりと流れた。
「とら男ー!」
「ロー!?」