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記憶が亡くなる前に

第5章 コラソンの正体


トラファルガー・ローという少年がやってきてから数日。

シオンとしては至って変わりのない日々だった。
今更、自分と同じような人が増えたところでさして変わりがないと。

ところがその日は違った。

いつものように出かけたと思っていたコラソンが街のはずれで誰かと話していた。
相手は電伝虫のようだ。

「センゴクさん。次のドフィの目的地は…」

『ふむ…分かった。お鶴を手配しよう。
ところで子どもたちの方は?』

「例の2人は追い出すのが難しいですね。
もう1人は…」

「コラさん…?誰と話しているの?」

「…!?」

『ん?誰か来たのか?』

コラソンは慌てて電話を切ろうとしたが、シオンはそれを止めた。

(マズイ…ドフィに伝わる!)

「……若様にはナイショにする。」

シオンの言葉にえ?と拍子抜けした。

「な、なんでだ?」

「……私は別に若様のためにここにいるわけじゃないから。」

シオンは無表情に答える。

「どういうことだ?」

「興味が無いからとしか言えない。」

シオンはそれだけを言うとどこかへ行ってしまった。

『今のが例の元奴隷か?』

電話の相手が口を開いた。
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