第1章 じご
「しょうと」
「起きたか」
女の人みたいな細くて長い、綺麗な指で私の髪を撫でてくれる。
「ふく、きせてくれたんだ」
「風邪引くだろ」
「焦凍はほんとにやさしいね、ありがと」
そういうと焦凍は私の髪を優しい手つきで撫でる。
「いまなんじ、」
「2時だ」
「もうそんな時間かあ」
スマホの画面を開いてメッセージアプリを確認して見ても来て欲しい人からの通知なんてきてなくて。
「帰んのか。」
「…ううん、もうちょっといようかな。」
そういうとぎゅうって抱きしめて優しいキスを落とす焦凍。
「...なまえ」
「ん、」
「…俺じゃダメなのか?」
「焦凍は」
「こんな私のどこがいいの」
「…言葉にするのは難しいが、全部が好きだ」
「ふふっなにそれ。」
「、じゃあお前は、爆豪のどこがいいか、言えんのか」
「…たしかに。うまく言葉にできないや。」
全部が好きって確かにそうだな、うまく言葉にできないって1人で納得する私に対して一瞬辛そうな顔になる焦斗。そんな顔するなら聞いてこなきゃいいのに。