• テキストサイズ

癒し猫さとにゃん♪

第9章 さとにゃんとさとしくんと、さとしくん








ぼくは、31年前


この、風山家の長男として生まれた





パパとママは、ぼくが産まれたのをとっても喜んで


とっても、可愛がってくれた





でも、ぼくは


一歳のお誕生日を目前にして


死んでしまった





だけど、本当は、そんなハズじゃなかったんだ


本当は、まだ生きて


風山家の長男として


家族に囲まれて、幸せに暮らしているハズだったんだ





ねぇ、神様


だったら、ぼくには生き返る権利がある


生き返って、風山家の一員として暮らす権利があるハズだ





ねぇ、神様


ぼくの体は、とうの昔に朽ちて無くなってしまったけれど


ぼくは、丁度良い身代わりをみつけたんだ





だって、神様言ってたでしょう?


…無垢な魂ほど、乗っ取り易い…って






時は満ちた


彼は、完全な人間になった






今こそ


蘇る時だ






さぁ


さとしくん




その体を




ぼくに






明け渡すんだ








「……ぼくは、誰?」


(風山、智)


「……ぼく、人間?」


(そうだよ、人間だよ)


「……ぼく、昔猫だったの?」


(違うよ、元はこの家の長男だったんだよ)


「……ぼく…ぼくは…


解んない


解んないよ…」


(良いんだよ、何も解らなくて


何も考える必要なんかないさ


もう、疲れたろう?


…お休み、さとしくん)





永遠の眠りに


堕ちるが良い…









「………ぼく、もう、ねる」

「「えっ?!」」


ぼくは


きっとケーキを食い過ぎた為、脳の血糖値が上がり過ぎて、血管が詰まって一時的な記憶障害を起こしてるんだ、とか


いいや、翔兄ちゃんのヘタレップリが情けなさ過ぎてソレを忘れようと努力した結果、忘れないで良いコトまで忘れちゃったんだ、とか


よく解らない事を言い合うしょーくんとかずくんに背を向けて、寝室へ向かった




なんだか、訳が解らなかった


色んな事を忘れて、色んなモノを無くしてしまった気がしていた




だけどぼくは、とても疲れていて


それ以上、考えたくなかったんだ…




そしてぼくは


もう醒めないかもしれない


長い眠りに堕ちて行った





/ 227ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp