【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第3章 一話 出会いは最悪の一言から
この世に生を受けて十九年、朔夜は生まれて初めての恐怖を知る事になった。
突然掴まれた手首から視線を上げ、掴む相手の顔を見る。
男性と言うには幼く、少年と言うには大人びている。きっと自分と同年代の青年なのだろう、と思った。
整った顔立ちでイケメンに部類される人種だ。
背も高く体格も良いまるでスポーツマン。
そんな人種に何故手首を掴まれているのか分からない。
朔夜が口を開こうとした瞬間、青年が先に口を開く。
その開いた口から出た言葉に朔夜の思考は停止した。
「俺と……セックスして下さい!」
バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある
一話
出会いは最悪の一言から
「…………は?無理です、有り得ない、警察呼ぶ」
スっとポケットからスマホを取り出していると、青年は掴む手に力を入れて言うのだ。
「俺本気なんで!」
「本気とかタチが悪いにも程がある!」
これは本気でヤバいのでは、と慌てる朔夜なのだが、青年は掴む手を離してくれないし、強く掴むから痛い。
なんで頭一個分位身長差がある男にいきなり、ナンパとは言い難い訳の分からない事を言われているのか、そろそろ思考が追い付けない。
「初めてだけど、頑張るんで!」
「童貞かよ!頑張る方向迷子にも程があるだろ!てかアンタ誰 !? 」
青年の暴走にツッコミが止まらずにいる朔夜だったが、やっと本題に対してツッコミ出来た。
そう、そもそもこの青年は何者なのか、と言う問題だ。
「影山飛雄です」
「そーかそーか!影山さん?警察呼ばれる前に帰って頂こうじゃありませんか!」
「呼ばれたら困るんで」
「じゃあ呼ばれる様な事をしてんじゃねぇよ!」
手首を掴まれている以上、朔夜は逃げる事が出来ない。
人通りがない訳じゃないが、運が悪く人がいなくて正直泣きたい気分でいっぱいだった。
「俺の何が駄目ですか?」
「全部だよ全部!何が悲しくて初対面の相手に性行為の誘い受けなきゃならんのよ !! 新手の罰ゲーム !? 」
そろそろ解放してもらいたくて必死なのだが、引いてもらえそうになくて、涙目になる。
正直デカ過ぎて怖い。真顔過ぎる所も怖い。交番に駆け込みたい。
「俺、本気なんで」
「何で私なんだよ!もっと美女探してこいや!何で芋女口説いてんのさ!」
朔夜の容姿はお世辞にも可愛いや美人には部類されない。