【夢小説】バレー馬鹿は恋愛下手にも程がある【HQ/影山飛雄】
第5章 三話 雰囲気だけで乗り切れ
チケットに記載されている座席を探しつつ、スマホで簡単なルールなるモノを朔夜は確認していた。
「ホームタウン?サブホームタウン?んと、主催してる側の試合、って意味合いと……ふむふむ」
分かっている様で実は分かってない。そんな状態で朔夜は席を見付けて座った。
(最前かぁ……見やすいちゃ見やすいけど、ルールちゃんと分かってないしなぁ)
そもそもバレーボールなんて中学の授業でちょっとだけやっただけ。その時に身長が高くない事を理由に、リベロに近いポジションになってサーブを受けまくったので、バレーはそんなに好きではない。
(取り敢えず寝ない様に観て、帰ればおっけーかぁ……)
ふぬぬ、と考えながら前列で持っていないと目立つ、と言われて渡されたバルーンスティックを握った。
こう言う物は割と好きなので、持っているのはソワソワ出来る。
(チャンバラとか出来そう)
変な方向に考えが飛んでいってしまっていると、会場が暗くなり音楽と共に選手が入ってきた。こんな風に始まるのか、と眺めていると両チームが入り選手の名前と共にボールが飛んでいるのが目に入ってきた。
「?」
何だろう、と小首を捻っていた所ボールを持つ影山とバチッと目が合った。
そして何だ、と思うよりも先に影山が打ったボールが弧を描きながら、綺麗に朔夜の膝の上に降ってきたのだった。
「ん?んん?」
何だ、と首を傾げながらボールを見るとサインが書かれていた。サインボールらしく、こんな事をバレーの世界はしているのかと思うのだった。
(ファンサ、ってヤツかなぁ……)
だが、サインはもうレプリカユニフォームに書いてもらっているのだから、ボールまでいるのかと考えてしまう。
そりゃあファンだったら堪らないかもしれないけれど、朔夜はファンではないし価値観がイマイチだ。
「……………ん?」
ふと、視線を感じ顔を上げると牛島と目が合った。ジェスチャーで何かを言っているので、動きを目で追ってみる。
丸い何かを描き、片手をサラサラと動かしている。
(ちっさいボール……になんか書いて……)
それがこのサインボールの事を指していると分かり、大慌てで首を横に振る。一つでもどうしようかと思っているのに、二つもいらない。