第1章 ここは一体どこなんですか
ギシリとベットのスプリングの音がして
ゆっくりと意識が浮上してくる。
自分の寝返りで起きてしまったらしい。
なんだか馬鹿らしくて視線を下げると、鬱血痕が皮膚病のごとく散りばめられ、うすっぺらい布切れをめくると片足を鎖でつながれた身体。気持ち悪い。ほんとに病気みたい。てかベッドごと移動すれば逃げられるんじゃない?…さすがにあほすぎるか。
それにしても、痛い。
いや、痛すぎる。腰とお股が痛すぎる。マジで意味わからん。どんだけヤるんだよ、猿かよ。お風呂入りたい。洗いまくりたい。全てを無かったことにしたい。トイレ行きたい。まってこの鎖洗面所まで届かないんだけど。終わった。
洗面所はあきらめていそいそとベッドに戻る。
…え、洗面器おいてあるんだけど。そういうことなの?これでやったら人間としての尊厳を失う気がする。
てか六畳半の檻って広めなのかな。昨日連れ込まれた時じっくり観察する間もなく抱き潰されたからここがどこなのか皆目見当もつかない。見た感じ普通のアパートのワンルームって感じだけど。死刑囚よりかはましなのかな?
叫んだらだれか来てくれるかも。でも喉が痛い。あいつのせいだ。死ねばいい。
申し訳程度のうっすい毛布を握りしめ、ぼんやりと下らないことを考えていたら、玄関の方でガチャリと解錠音が響いた。
誰か来たんだが?あいつじゃないと思いたい。
糞野郎。キモイ、キモすぎる。
待って、寝たふりしとけばいいじゃん。私天才。
…前言撤回。
ベッドって玄関からモロ見えじゃん。おわったわ。死んだふりしとこ。
すべてを忘れたつもりになって部屋の角にでも
「あれぇ、もう起きてんじゃん、早くねぇ?」
…最悪。
夢主 (被害者)
気づいたら変な部屋にいた人。被害者。いつもめぇちゃくちゃやかましい。そこに目つけられたとか思ってない。愛だの恋だの言ってる癖にくっっっっそ鈍感。っていうかKYかもしれない。
こじらせすぎて法を犯しちゃった変態 (加害者)
夢主にかかわるすべてに嫉妬してる。人間なんてもってのほか。そのうちころすぅ♡とかいいそう。ごめんもう言ってたわ