第4章 目撃
目が合った。綺麗な青い瞳が濁っている。頬が赤く染まって痛々しい。
前世の時から友達によく言われていた。お前の無意識は当たるから怖いと。だから今回も無意識なのだ。無意識に手を伸ばして、頬の隣をすり抜けてナニカを握り潰した。
押し入れから出て安定を見上げる。大きな子どものようで迷子に見える。別に私はいい子でもなんでもないから。助けることはしないけど。
何も考えずに伸ばした手は、膝立ちをしている安定の腫れた頬に触れた。
「……え」
「お前は強いね」
ぽつりと言葉を零した瞬間にふと我に返った。
大きくクリクリとした瞳が驚きで見開かれてる。私を見つめる瞳は、虐待されていた子とは思えない。
あっと言葉を漏らして、慌てて安定から離れる。見知らぬ子どもに触れられて、突然変なことを言われたら不気味だろう。
おろおろとしながら安定から目を逸らし虚無を見つめる。どうしよう。早く石切丸帰ってきて。
「あんた……」
耳に届いた声に思わず顔を向けた。赤く腫れ上がった可愛い顔は、彼にはとても似合わない。
足は勝手に加州の元へと向かっていて、冷えた手は加州の両頬を包み込んでいた。
困惑する瞳がゆらゆらと揺れて、私の腕を掴む。また意図せず、触れてしまったことをそこで知る。
「なに……」
「きれい」
じっと加州の瞳を覗いた。それはただ好きな色だったから。深くは考えずに呟いて微笑んだ。
加州の手が私の腕から力無く離れていく。加州の瞳が潤んでいて、赤い瞳がきらきらと水面のように揺れて美しい。
可愛い子。私の初期刀。でもこの子は私の子ではない。違う本丸の加州清光だ。
幼児の肩に預けるように頭を乗せた加州に、どうしていいのか分からず優しく頭を撫でた。さらさらとした髪は柔らかい。
「いいこいいこ」
なるべく子どものように振る舞ってバレないように呟く。知らない子どもを警戒すると思ったけれど、そういえば沖田総司という人物は子どもが好きだった。
震える体は先程の審神者についてか、それとも。
詳しいことは私には分からない。関わるつもりもない。どうせ七つまでの関係だから。
「すまない。遅れてしまって」
暫くしてから石切丸が来た。いつの間にか私の近くにいた沖田組を見て、驚いた顔をしていたが私も驚いている。
石切丸に抱き上げられて、安全な所へと連れていかれた。
