第6章 素直　後編【※錆兎】

「駄目…だったか？」

「……だって、怖いっ！」

「怖い？別に、乱暴にしてるわけじゃないだろ。俺は出来るだけ、優しく…、」

「それが怖いの。…頭がぼーっとしてきて、おかしくなっちゃいそう。」

そう言って、顔を真っ赤にして手で覆い隠す陽華の姿を見て、錆兎は安心したように微笑んだ。

「俺だって、頭がぼーっとして、おかしくなりそうだ。…でも、それ以上に、お前とこうしてると気持ちがいい。……お前は、気持ちよく…ない…か？」

そう優しく問いかけられ、陽華は指の隙間から錆兎を見た。錆兎は微笑むと、その手を掴み、顔から引き剥がした。

「本当に怖いのか、もう一度、確認しないか？」

錆兎の顔が再び近づいてきて、陽華は覚悟を決めたように目を強く閉じた。

唇を割り開き、錆兎の舌が入り込む。ゆっくりと口内を動き、奥に閉じこもったままの陽華の舌を、誘うように刺激されると、陽華も恐る恐る舌を突き出した。

その舌先に、錆兎の舌が絡められる。

「んぅ…んっ…ぅ…、」

激しく舌を絡められ、何度も吸われると、次第に恐怖は和らぎ、体の芯が疼き始め、陽華は身体をモジモジと動かした。

（……何、身体が熱い。）

ずっと強張ったままだった陽華の、緊張が解けたのがわかると、錆兎は最後にちゅっと音を立てて名残惜しげに唇を離した。

「このままずっと、してたいくらいだ。癖になりそうだな。」

そのまま陽華を見つめると、陽華は恥ずかしげに、顔を横に背けた。