• テキストサイズ

【鬼滅の刃】屋烏之愛【新装版】

第16章 初恋 中編【伊黒小芭内】





「べ、別に、美味しいからまた作ってこいとも言ってない。」

平静を装いながら、慌てて嫌味で返すが陽華はそれをニッコリと笑って返す。

「あっ、美味しかったですか?じゃあ、また作ってきますね!」

「……………」

陽華の返しに、思わずに目が点になる。



たくっ…この女は……、

本当に滅気ない。ポジティブというべきか、神経が図太いというべきか…、



陽華の今まで行動や言動を思い出すと、軽く口角が緩む。

「あッ!!し、不死川先輩、今見ましたか?伊黒先輩、今……笑ってましたよね!?」

「あぁ、そうだなァ。」

実弥が軽く笑いそうになるのを、口に手を当てて隠しながら答える。その姿に小芭内の顔が軽く高揚した。

「ち、違うっ!これは、コイツがあまりにも間抜けな顔をしてたから、おかしくて……」

慌てて否定しても、二人のやり取りは止まらない。

「私、笑ったとこなんて初めて見ました!」

「そうかァ。ま、基本マスクに隠れてやがるから、レアではあるけどなァ。」

「いや…だから、これは……」

口々に言い合う二人の目がムフフとニヤける。その姿に小芭内の顔が完全に赤く染まった。


「だからっ、違うと言ってるだろ!!


静かな屋上に、小芭内の声が響き渡った。










放課後、部活帰りの小芭内を陽華がいつもの並木道の途中で待ち伏せる。

今日の昼休みは、小芭内から笑顔を引き出すことに初めて成功した。出来ればこのまま間を開けずにもっと距離を縮めて行きたい。

そう思いながら学園の方に顔を向ける。すると並木道の向こう側から、小芭内の姿が見えた。

小芭内が近づくタイミングで、陽華が木の影から顔を出すと、小芭内は少し呆れた顔を浮かべたが、特に何も言わなかった。

陽華はそのまま小芭内の横に付いて、一緒に歩き始めた。






/ 393ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp