• テキストサイズ

【鬼滅の刃】屋烏之愛【新装版】

第12章 進物 後編【冨岡義勇】





虚無僧の鉄球に倒れた義勇だったが、しのぶの言う通り、背中を打ち付けた以外はかなり軽症だったため、すぐに起きた。




そうして漸く陽華は、念願の【愛の鐘】の前に義勇と二人、立つことが出来た。


その場所は先程の庭園よりも、より色とりどりの綺麗な花で囲われた華やかな場所だった。そしてその中心にあるのが、アーチ状の台座に吊るされた白い鐘。

陽華はその鐘を感慨深く見つめると、心臓を小さく高鳴らせる。

(……とうとう、ここまで来たんだ。)

陽華は意を決して義勇に向き合うと、息を深く吸い込み、自分を奮い立たせるように左手を掴むと、義勇に向かって大きな声で叫んだ。


「義勇さんっ!私と一緒に、あの鐘を鳴らしてくださいっ!」


(い…言えた……、)

やっと言えることが出来た自分の気持ち。どんなに言おうとしても、言う事の出来なかった本当の気持ちが。

陽華の顔は今や、沸騰したかのように熱くなり、胸はうるさいほどの鼓動を波打っていた。

(お願い、義勇さん!私の想いを受け止めてくださいっ!!)



後は義勇の答えを待つだけ………、



「陽華……、俺は……、」



義勇が言葉を発する。瞬間、跳ね上がる心臓。

心して息を呑む陽華に、義勇は………、





不思議そうに首を傾げた。



「疑問なんだが、あの鐘を鳴らしたら、この迷宮を攻略したことになるのか?」



・・・・・・へ?



「…ま…まさか、義勇さん、」

陽華の頭に嫌な予感が過るが、それでも恐る恐る訪ねてみる。

「確認しますが……もしかして、チラシも表の説明文も読んで…ないですか?」

「…ん?…鐘については読んでないな…、」

(やっぱりーーーー!)

義勇の言葉に、陽華も外野でことの成り行きを見守っていた一同も、思わずズッコケそうなる。






/ 393ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp