第60章 初めての宴
「何の御用でしょうか。」
天「…お前、俺にだけ固くねぇ?」
菫は天元の杯が空いているのに気が付くと酌をした。
「歳上の男性ですので。悲鳴嶼さんにも同じように接しています。」
天「ふーん。」
天元は礼を言うと菫が注いだ酒をぐいっと飲み干す。
「………。」
天「今、俺じゃなくて煉獄に酌したかったって思ったろ。」
「…はい。申し訳ありません。」
菫が素直に認めると、『じゃあお詫びとして俺の酒を飲め。』と新しいおちょこに酒を注ぐ。
「い、いえ、私は今日飲むつもりはありません。」
天「は?飲めない歳の奴に気を遣ってただけじゃねぇのかよ。こんな目出度い席で飲まないなんて嘘だろ?」
つまり天元はしのぶと蜜璃に合わせて酒を飲めずにいるのだと思って呼んだのだ。