第58章 休養―其の弐

炭「もっと早くお見舞いに来たかったんですが、なかなか許可が下りなくて…。」

杏「それはそうだろう！君達も軽症じゃないんだ、あまり無理はしないでくれ！気持ちは嬉しいがな！！」


そう言われると炭治郎は眉尻を垂らしながら笑った。


伊「あ？飯係は無傷なのか？」


伊之助がふと視界に入った菫を見てなんの気無しにそう言うと、杏寿郎は明るい笑顔で頷く。


杏「うむ！無惨を追い込んでいた時は胡蝶と共に危険を顧みず後方支援をしてくれていたな！」

伊「いや、こいつもっと前からいたぞ。弐のやつと戦ってた時から。」


同じくその場に居た炭治郎は敢えてその事を黙っていたのだが、伊之助は空気を読めなかった。

杏寿郎は大きな目を更に大きく見開いて菫を見上げた。


杏「君、あの屋敷へ来ていたのか！！！」


「…はい。杏寿郎さんのお屋敷にいらした隊士様と共に。」


杏寿郎はそれが避けられなかった事だと察すると、眉を寄せながらも『無事で本当に良かった』と言った。


「親分と蟲柱様に守って頂いたのです。改めてお礼を言わなければと思いつつ後回しに…申し訳ございません。親分、本当にありがとうございました。」

伊「飯で返せ。」


杏寿郎と炭治郎は菫が舎弟に下ってしまった事を悟りながら微笑んでそれを見守った。

一方、善逸は眉尻を下げている。