第1章 クレープが食べたい
学校が終わり、東卍のメンバーが集まって街をブラブラしていた。
「おーい、こん中にクレープ食うのひよってる奴いる?いねえよなァ!?」
突然のマイキーの呼び掛けに一同が振り向くと、通りにはとても可愛らしいファンシーなお店があった。どうやらクレープ屋らしい、女の子達がわいわいと寄ってきて可愛いクレープを食べている。
その光景を見てメンバー達は全てを察した。
「…オレは甘いのはいいわ、今食いたい気分じゃない」
「ケンちんひよってんの?」
「いやひよってるとかじゃなくてよ」
遠回しに断ったドラケンがマイキーに問い詰められているのを、明日は我が身とばかりに見守るメンバー達。
「あの可愛い店構えはさすがに入りにくいわ。三ツ谷ならいけんじゃね?買ってきてくれよ全員分」
「あ?テメーふざけてんのか。何でもかんでも俺に押し付けんじゃねえよ」
総長に責められる前に話をつけようとするパーちんと、それに反論する三ツ谷。断固拒否の姿勢を見せる。
このままではまずい、そう思ったドラケンはダメもとで反撃してみた。
「言い出しっぺのお前が買ってこいよマイキー」
「あーこれは俺一人の問題じゃねえ。東卍の一大事だなー。買う奴はじゃんけんで決めよう」
しかし結局総長の圧力で簡単に言いくるめられてしまう。祈る気持ちでじゃんけんするメンバー達。
「負けちまったわ…」
負けたのは場地だった。しかし場地の傍には強力な助っ人、千冬がいた。
「大丈夫です、場地さん。俺がついてます!」
「千冬ぅ…オレ、ペヤング味クレープが食いてえわ」
「解りました。俺買ってきますよ」
千冬はしゅたたっと俊敏な動きで場地の注文を見事にクリアして戻ってくる。
「はい、場地さんどうぞ」
「すげーな千冬ぅ、クレープにペヤングソースがかかってやがる。お前ペヤングまで用意してくれたのか」
「当たり前じゃないスか」
「半分コ、な?」
終始通常運転の二人にマイキーが不満を漏らす。