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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第15章 青の日々 (及川徹)



side及川 回想


「ちゃーん?」

『なあに及川』

隣の席の彼女は俺の方を見向きもせずに次の授業の準備をしている。このツンツン具合にはもう慣れっこ。むしろ求めてる俺がいる、かも。

「そろそろ俺と付き合う気になった?」

『ならないけど?』

「…っねえ!なんで!?」

『逆になんで付き合う気になると思った?』

「だってこんなにハンサムなのに!?」

『そういうところかな』

俺に靡かない女の子なんていないのに!って言ったらまた冷めた目で見られるんだろうな。

「及川ァ!いつまでもに付きまとってんじゃねえぞ!!」

「げっ岩ちゃんだ…!」

「げ、じゃねえクソ川ボケェ!!」

『あ、岩泉いいところに来た。このアホ持ってってよ。』

「おら行くぞボケ川!」

「ちゃん!?俺の事岩ちゃんに売るの!?」

『まったね〜』

「やだああ!やめて岩ちゃん引きずらないでぇ!ちゃん助けてー!!」

高一の春。晴れて同じ高校へと入学した俺たちの出会いは中学だった。

それはまあ綺麗な子がいるなあって思ったのが第一印象。透き通るような白い肌に漆黒のストレートヘア。傷みを知らないその髪の毛は太陽の光を浴びてきらきらと輝いていた。




『及川徹って君?』

「ぇあ、うん…そうだけど」

『はいこれ、生徒手帳落ちてた』

「わ!ありがと探してたんだ」

『いーえ、じゃあいくね。』

これが俺たちの初めての会話。中1の梅雨くらいだったかな。女の子からこんなあっさりした対応されたことがなかったからよく覚えてる。

それに近くで見ても驚くほど綺麗で心を奪われたのは紛れもなく俺の方だった。
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