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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第14章 初恋の君と (角名倫太郎)



わたわたと慌て出すちゃんを横目に睨み合う俺たち。何なのこいつ。初対面で失礼てかなんで俺の名前知ってんの。

『角名くんごめんね、私もう帰るから先輩ももういいでしょ…。』

「なんでちゃんが謝るの。てか帰んないでよ。ちゃんが帰ったら寂しがるよ、俺が。」

「なに、角名くんのこと好きなの?」

お前よりずっとずっと前からね。

『ちょっと…!やめてよっ』

慌てる彼女の声があまり耳に入らないほどこの男が腹立たしい。

「俺の名前呼ぶなって言いましたよね?」

「だって有名人じゃん角名くん。バレーやっててここら辺で君のこと知らない方が珍しいよ。それに妹ちゃん俺たちのマネージャーだしね。」

「あぁそうですね。
妹がお世話になってますせーんぱい?」

妹から話を聞いた時はちゃんが選んだ人なら、なんてほんの一瞬だけ思ったりもしたけどやっぱ無理だわ。なんでこんな奴がちゃんの彼氏なの?なんの間違え?

「帰ろう?好きそうな映画借りてきたから2人で見て過ごしたい。」

見せつけるように彼女の肩を抱いて荷物を取りに行くよう促す。

「ほら早く」

『…、うん。』

「待ってくださいよ、今日のためにわざわざ帰ってきたのにそれはないでしょ。」

「は俺に会いに帰ってきたんだよ?ね、?」

『…ぇっと、』

「、俺のためでしょ?」

『…うん。』

「ってことだから角名くん。ごめんね、この子俺のなんだ。」

「ちょっと…!」

荷物を手にした彼女を連れて帰って行くそいつをただ見てることしか出来ない自分に腹が立つ。なんて言えばよかった?ちゃんがあんなに悲しそうな顔をしてたのに、ずっと緊張したような声だったのに、俺はどうすれば良かったの。

「すーなーぁ!」

店の中から俺を呼ぶ声。

「あ、ごめん今戻る」

「慌てて出てったけど何かあった?」

「彼氏が来た。そんで連れて帰っちゃった。」

「え、まじで言ってんの。」

「大まじ。俺なんも出来なかったわ。」

「は?大丈夫なの」

「嬉しそうではなかったかな。あとで電話してみる。」

「うん、そうしてあげて」
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