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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



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─────五百年後に強制連行されて三日目。

彼方の提案により、急遽海へ遊びに行く事になった武将+アルファ一行は、投げ銭額結果発表の後、水着と現代の衣服を調達する為、咲坂グループ傘下のデパートへと向かった。男女に分かれ、男性陣は佐助引率の元、それぞれ衣服と水着を調達し、女性二人も買い物を楽しんだ後、前乗りといった形で、海を目指して京都を出発する。行き先に関しては完全に彼方任せであった事もあり、果たして何処に行くのやらと思っていた面々が、人数の割にやたらと広い、運転手付きチャーターバスに揺られて一時間半弱。和歌山県和歌山市に来ていた。

和歌の浦の海水浴場付近にある、咲坂グループの系列ホテルで前乗り一泊した後、翌日は朝から思い切り遊ぶという事で、荷物を男性陣が持ち、海岸へ向かった。最も海水浴場が賑わう季節ではあるものの、平日という事で家族連れというよりは恋人同士、あるいは平日休みの社会人や大学生達の方が多い印象の海岸には、午前中だというのに人が多く集まり始めている。新しく整備されたばかりだというこの海水浴場は、施設が充実している事が人気や話題に上っており、凪もニュース等で取り上げられているのを幾度か見かけた事があった。まさかその場所へ、五百年の時を越えた名だたる有名武将達と共に訪れる事になろうとは、人生は何が起こるか分からないものである。

「な、何だここは……本当にここは日の本なのか」
「はい、間違い無くここは日の本で、更に五百年前風に言うと、紀伊国(きいのくに)辺りです、秀吉さん」
「……一瞬、南蛮か見知らぬ何処かかと思ったんだけど」

秀吉が何とも言い難い顔で海水浴場を見回した。まるで現実であると受け止めきれないと言わんばかりの表情の彼へ、佐助が冷静に頷く。紀伊国と聞いて軽く翡翠の双眼を瞠った家康が、実に胡散臭そうに辺りを見回し、はっとした様子で顔を思い切り逸らした。


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