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【FF10】緋色のそばに

第9章 幻光河


「こいつがシパーフだ」


「うわ~、乗りたい!これ乗りたいぞ!」


ワッカが得意気に指差した先に、人の2倍以上の高さはあろうかという大きな生き物。初めて見るティーダは大興奮だ。


「シパーフなんて久しぶりね」


「あ、乗ったことあるんだ」


ティーダからの問いに頷きで返す。
私とユウナとキマリで一緒に乗ったことがある。
ブラスカのナギ節が始まってすぐの頃、ベベルからビサイドに向かう時だ。


「10年前にね、3人で乗ったのよね」


「シパーフが揺れてユウナが河に落ちた。シパーフは長い鼻でユウナを助けた。ユウナは喜んで3回わざと河に飛び込んだ」


私とキマリがそのときの詳細を話すと、ユウナは当時を思い出したのか少し気まずそうだ。


「キマリは心配した」


「いたずらっ子だったわね~、でもすごく楽しそうだった」


「ああ、だからいい」


「……ごめんなさい」





あの時はまだ出会って少しだったから、ユウナは私とキマリに多少なりとも緊張してた。
そんな時シパーフと触れ合うことで緊張がほぐれ、楽しそうに笑ってくれたユウナのことよく覚えてる。




この子の笑顔をアーロンの代わりに守らなければ




そう胸に強く誓ったのもその時だ。




「あ、あのシパーフ怪我してるわ」


「あれはジェクトが付けた傷だな」


「ええっ!?」


側にいたアーロンが教えてくれる。


「オヤジが!?」


ティーダもびっくりだ。


「酔っていた。魔物だと思ったらしい」


「はぁ~、しょーがねぇなぁ……」


「俺達の有り金を全部出して詫びを入れた。そしてジェクトはそれ以来酒をやめた。あの時のシパーフは今も現役のようだな」


だから最初に会ったとき金欠だったのかと納得する。
それでお酒辞めるなんてそこもジェクトらしい。


懐かしい話に花を咲かせていたが、シパーフの準備が出来たようでハイペロ族のシパーフ使いが声をかけてくれる。


「シパーフ乗る~?」


私たちは準備を整えてシパーフに乗り込んだ。
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