第2章 ビサイド島
「キマリ!?」
港まで向かう途中、キマリがティーダに突然襲い掛かる。
それまで武器を使ったこともなかった少年が、キマリとほぼ互角に渡り合っている。
ブリッツ選手ってこともあって、運動神経がずば抜けているようだ。
「もういいだろ!」
ワッカの制止の言葉でその戦いに終止符が打たれる。
キマリは握っている槍を下ろし、そのままその場を立ち去ってしまった。
いきなり襲われた当の本人は、驚きとも怒りとも取れる言葉を口にする。
「なんだよアイツ!」
「キマリ=ロンゾ……ロンゾ族の青年。魔物の技をおぼえて使いこなす」
代わりにルール―が彼について淡々と答える。
「そういう意味じゃなくて」
きっと何でいきなり襲ってくるんだよ!
という意味なのだろう。
「あいつもユウナのガードさ」
ふふふとユウナが笑いながら話を続ける。
「キマリってとっても無口だから、私達にもよくわからないんだ。でも私が子供のころからずっと守ってくれてるの」
「あんなんでコミュニケーションとれるのかよ…」
それにもユウナが笑いながらこう答える。
「あ、でもサーシャさんだけは特別かな」
「サーシャ?あ、昨日ワッカが紹介してくれた人っすか?」
ティーダはまだ一度しかサーシャに会っていないため、顔もうろ覚えだった。
「うん。サーシャさんはね、キマリといっしょに私をここに連れてきてくれた人なの。キマリ、サーシャさんとはよく話しているよ。」
「へえ…」
「だから困ったときはサーシャさんを頼るのがいいかも」
ティーダはその答えに了解っす!なんて答えていたけど、実際はワッカの方が頼りにしやすいんだろうな。なんて思ったり。
「さあ、港に向かうぞ!」
ワッカの元気な声で一行は港に向かった。