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【FF10】緋色のそばに

第9章 幻光河


次の目的地、幻光河を目指してジョゼ街道から南岸の道へと進むと、見慣れぬ2人連れに話しかけている男性がいた。
近付くとルカでキマリに絡んできたロンゾ族だった。

そうだとわかると私とティーダは敵意むき出しで青年たちを睨む。


「キマリを嘲りに来たか」


「違う。小さなキマリに忠告に来た」


キマリの毅然とした態度に、2人は先ほどまでの笑い声を納めて真面目な顔をする。


「召喚士が消え、帰らない」


「次は、キマリの召喚士の番だ」


「憐れなキマリ!ツノを失くし、召喚士も失くす!」


「惨めなキマリ!一人で泣き叫べ!」



そう嘲り笑ってそのまま立ち去って行った。

またもやキマリを馬鹿にするなんて許せない。
いつか絶対懲らしめてやるんだから!
…キマリには怒られそうだけど。



「気になるわね」


「ロンゾ族の問題は、ロンゾが解決する。昔っからのしきたりだろ?」


ルールーが呟くのを聞いて、ワッカが眉を顰めるが彼女が言いたいのはたぶんその事じゃない。


「そのことじゃなくて召喚士が消えるってことでしょ?」


「えぇ…少し、気になって」


「突然消えるわけでもあるまい」


「ま、ガードがしっかりしてれば、大丈夫ってことだ」



ワッカの考えを訂正すれば、ルールーが頷いて不安を浮かべる。それにアーロンが肩をすくめて「今考えるべきことではない」と諭した。
その言葉を受けてティーダが「そーだそーだ!」とワッカと肩を組み始めて先に進んでいってしまう。


その様子を見てティーダの父親の姿を思い出す。


「ほんとこういうところジェクトさんにそっくりじゃない?」


「…そうだな」



小声でこそっと話すとアーロンは小さく笑う。
懐かしそうにティーダを見る彼の横顔は、まるで父親を彷彿させるような表情で____








「…なーんか先越されちゃったなー」


「なんのことだ?」


アーロンからの問いに私は答えず、ティーダたちの後を追って走り出す。
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