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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第12章 鋼メンタルの宇宙人


「アラン、どうだ?」
「死んではいないよ。たぶん、脳震盪。」
「保健室に運べるか?」

アラン様は拒否、どんな時でもマイペースだ。

「わ、私が運ぼう。」

消えそうな声で申し出たのは、王子本人だった。そうして、視界の端に王子に抱えられた主人公が通り過ぎて行った。

そして、誰かが呼んだ先生が現れ、主人公を殴ったヨシュア=ペリズリーを伴いいなくなった。静かになった廊下。

「アラン・・・。」
「嫌なものは嫌。」
「全く・・・。」

さっきの介抱の拒否のことを言っているんだろう。それでも、頑なな返答だったけれど。

「俺はあの女嫌い。」
「あぁ、分かった。」

呆れ顔で仕方ないという顔だ。

「シェラザード様、さっき、ジェノバ様が言っていたのはどういう?」
「さぁな。それより、怪我はないか?」

私の体を心配してくれる。何ともないのを確認して、安堵した様だった。

「では、行こうか。アラン、またな。」

アラン様は、私に小さく手を振ってくれ戻ってきたフラン様と共に学食へと向かわれた様だ。

そして、私たちはいつもの定位置。あんなことがあったから食欲がない。隣りでは、普通に食べているシェラザード様。本当に通常運転。

「私が食べさせようか?」
「えっ?あ、いえ。」

玉子焼きを食べてみたものの、味なんて分からない。だって、咄嗟だったんだもの。人があんな風に吹っ飛ばされるなんて。

「ペリズリー様は、どうなるのですか?」
「退学だ。」

だろうでもなく断定。一歩間違えれば、死んでいたかもしれない恐ろしい行為。何よりも、殴った事より、その後の笑顔で王子を見た時のあの顔の方に恐怖を感じた。

あの人は、王子の為なら何でもやれる人だ。人を殺めることでさえ、躊躇ないのかもしれない。

半分ほど何とか食べたものの、その後はどうしても手が動かなかった。

「詳しくさっきのことも聞いておきたいところだが、放課後、ウチに来い。それと、もう食べないの?」
「そうですね。」
「では、私が頂こう。残すのは勿体ない。」

簡単に私からお弁当を奪っては、遠慮なく食べて行く。

「ふむ・・・侯爵家の秘蔵か。」

諦め切れないみたいだ。満面笑顔とかではないけれど、それでも美味しそうに食べてくれていることに何だか温かい気持ちになった。



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