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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第10章 主人公登場


私・・・主人公に可哀想扱いされた。確かに、いつも一人だけど。そこは否定できないけど。

「さ、行きましょう?」

これは、善意?ただの善意?

「ごめんなさい。お昼は婚約者と過ごしていますので。」

そこへ迎えに来てくれたシェラザード様。私は足早に、彼に歩み寄る。決して、走ったりはしない。

「お待たせしました。」

が、シェラザード様は、私の背後を見ては怪訝な顔をしていた。振り返れば、満面笑顔の主人公がいた。そして、私の腕に自身の腕を絡ませ・・・る前に、私はシェラザード様に引き寄せられた。

「何か用か?」
「あ、一緒にお昼を食べようって話しをしていたんです。」

嫌、私は了承していないのだけど。

「そうか。だが、断わる。」

えっ?そんな定番の拒否の仕方?主人公、吃驚してる。そして私は、シェラザード様に引っ張られて行く。

いつもの定位置で、シェラザード様は口を開いた。

「あれは何だ?」
「編入生のマリア=ジェノバ様です。」。
「それくらいは私も知っている。何故、昼を共にする話しになっている。」

そんなこと言われても、私も分からない。私が首を傾げていると、シェラザード様は小さく溜め息を吐いた。

「アメリアのその様子を見て、令嬢の一存だと言うことが分かった。だが、あの令嬢はロイドらと共に行動しているだろう?」
「私がいつも一人でいるからだと言われました。」
「一人・・・そうか。ロイドも驚いた顔をしていたし、本当にあの令嬢の一存だったのだろうが・・・。」

同情されたのかな?心優しい主人公だものね。でも、悪役令嬢と仲良くしようとする主人公って。

そんなことより、折角のお昼休みだ。今日はちゃんとしたお弁当を作って来たんだ。お箸は使えないだろからフォークで代用。

「これは…ライス?」
「はい。よく噛むと甘くて美味しいですよ。」

一口分をフォークに乗せては、口に入れたシェラザード様。

「確かに甘く感じる。この黄色いのは卵か?」
「出汁巻き玉子です。」
「これは・・・とてもジューシーで美味い。」

一つずつ説明しては、その度に気に入ってくれた様子にホッとした。そして、私が唐揚げを食べようとすると、隣りから視線を浴びせられていることに気付く。

チラッと見ると、その視線は私の口元。更に、半分齧った後のフォークに刺さった唐揚げへ。

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