第19章 黎明のその先へ【END2】
月城の方はどうだ?
見えぬ標的に食いついて刀を振るう姿が目に入る。
だが、連れ回してしまったせいか少し疲れが見えるな。
彼女の前に入り、対峙するものを斬る。感触はあったが頸を外した。すかさず細かな斬撃を入れる。
鬼は細切れで姿を現し、消えていった。
あと二体か?
振り向くと月城の後ろから車が宙を飛んでくるのが見えた。彼女がそれに気がつくと同時に腰を抱いて避ける。
「見えるか!?」
「向こうに一体。」
「あとは?」
「斬りました。」
「よし!」
返事と同時に彼女の指さした方に駆け込み、広範囲に斬撃を入れる。
今度はすぐ頸を斬った。塵が空に消えていく。
「終わったな!」
俺は刀に付着した血を振り払ってから鞘に収めた。
月城も刀を収める。硝子の刃に汚れは無かった。彼女の刀は血をつけない。故に返り血も浴びてない。
俺でも多少は浴びるのに。
「大丈夫か?」
「はい…お疲れ様でした。」
「うむ!」
あと四半刻で夜明けだ。
今日のところはここまでだな。月城を休ませるために帰さなければ…。
帰さねば…。
だがなぜだか、まだ帰したくない。
疲れが見えるのだから、それが怪我の原因になってはいけないから、休息は必要だ。
帰さなければ……。
頭では分かっているが、どうも昂ったまま冷めない。
次会えるのはいつになるかわからんぞ。
……。
月城を見ると不思議そうな顔をして俺を見ていた。
それがまた可愛らしいんだ。
青空のような目は、月のない暗い夜でもまた違った美しさを放つ。
それは吸い込まれそうなほどに。
あぁ駄目だなこれは。
「ちょっと来い。」
「…はい?」
疲れてまだ呼吸の整わない月城の手を引いて、その場を離れる。
あとは隠らがいろいろ片付けるのでな。
見つからないところへ…。
どこか頭の片隅では己に呆れていた。
それでも抑えられない。
手を引いて来た手前、今更戻れない。