第30章 むらぴーとゆうこりんの結婚式、の巻
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例のストーカー男が御用になってから数日が経った
何だかんだと、智くんが絵を描きに行くのに難色を示していた俺も
不安材料が無くなって、智くんを安心してギャラリーへ送り出すことが出来る様になり
俺と智くんに、何時もと変わらないラブラブな日常が戻っていた
そんな、ある日
何時も通り、可愛い智くんとしばしの別れを惜しみまくって(笑)会社へ出勤した俺に
待ってましたとばかりに村上が声を掛けて来た
「おはよう櫻井くんっ!!」
「おー、はょ。…お前は朝っぱらから元気だなぁ」
「当たり前やないかいっ!
そんな事より、櫻井くん、コレ!!」
村上は、気色悪いほどの笑顔を満面に浮かべながら
白い封筒を俺の手に押し付けた
「…ん?何だよ……手紙か?」
「ただの手紙ちゃうでっ!!
この幸せオーラが滲み出とるデザインを見れば解るやろ!!
結婚式の招待状やっ!!」
「…はあ?」
何故かどや顔の村上に首を傾げながら封筒を開くと
なるほど、中には結婚式の招待状が入っていた
「……てかさ、普通こうゆうのって郵送で送らないか?」
「何を言うとんのやっ!!いちいち全員郵送で出しとったら、切手代が嵩むやないかいっ!!」(←笑)
「は?(汗)」
「全く、何十人に出す思てんねん!!金掛かってしゃあないやんかっ!!
…あ、ぶっちょ!コレ、俺の結婚式の招待状っす♡」
どうやら
切手代をケチったらしい村上は、会社関係の招待客全員に手渡しで招待状を渡すつもりらしい
手に持っていた封筒の束の中からぶっちょ宛てのモノをピックアップして、ソレをぶっちょに手渡した
ぶっちょはソレを大して不審がりもせずに受け取ると、嬉しそうにソレを眺めた
「おー、そうかそうか、いよいよなんだな
いや、楽しみだなぁ」
「いっやぁ、ほんまに楽しみですわぁ、ぶっちょのスピーチ♡」
村上は分かり易く吉本新喜劇並みに擦り手をすると、へらへら笑いながら部長にゴマを擦り始めた
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