第1章 Hallowe'en
<ローグの場合>
「ノエル~みてー。」
「あら、フロッシュ!可愛い!!」
何時もはカエルのぬいぐるみを被っているフロッシュが、10月31日、ハロウィーンの今日はカボチャのぬいぐるみになっている。フロッシュの大ファンである私としては思わず抱き締めてしまうくらいにはとんでもなく可愛らしい。
「ローグにしてもらったんだね?」
「うん、そうー。」
「やっぱ分かってる!さすがローグ!写真撮っていい?」
「やはりノエルにはこの素晴らしさが分かるようだな。」
「あ、ローグ!勿論よ。後でローグにも写真送ってあげるね!」
「ああ、頼む。」
「あいつらまたやってるぞ。フロッシュ愛好会。」
「可愛いのはわかるが、2人とも目がマジなんだよなぁ。」
そんな会話が背後から聞こえてくるが、そんなものお構いなし。だってフロッシュを見て癒されることに何ら罪はないもの!フロッシュの可愛さは罪な気がするけどね。
―か、可愛い…!フロッシュも勿論だが、フロッシュを優し
く見守るノエルが…!
ローグはひっそりと人には言えない感情を持て余していた。それは今回のハロウィーンに限ったことではなく、以前にたまたまノエルがフロッシュを抱き締めているところを目撃してからだ。目尻をこれでもかと下げて幸せそうに笑う彼女に言い知れぬ感情を抱いたのだ。
それからはフロッシュを通じて彼女と触れ合うことが出来るのが嬉しくて、でも口には出せずにいる。
そもそも自分は話すことが得意ではない。それにノエルと2人でいるときは余計に緊張で黙りこくってしまう。無理やり話しかけては変なことを口走って嫌われてしまわないか、彼女の眼に自分はどう映っているか。そんなことばかり考えてしまう自分の小胆さに嫌気がさす。
と、いつものようにノエルがフロッシュを抱き上げてぎゅっと抱き締め、あの顔で微笑む。
―俺にも、あんな顔で、笑いかけてくれるだろうか。
「え?」
「あ。」
―しまった!口に…!
慌てて口を抑えるが、吐いた音は戻らない。ノエルの反応からもしっかり聞こえたことはわかる。だってあんなにも…。
「…ローグになら…いつでも、笑うよ。」
真っ赤になった顔をフロッシュの後ろに隠してぼそりと呟いた。その表情を見て、また俺は心を奪われるんだ。