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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第25章 前世から※【宇髄天元】


スマートフォンの通話をオフにしてまもなく、寝室から波奈がそろりと顔を出した。

「お、起きた?はよ」

「…うずいさぁん…」

「ふは、なんって顔だよ」

波奈の赤く蒸気した顔。瞳はうるうると揺れていた。

「まあ、落ち着いてこっちに来いよ」

ソファーの上に座って、ちょいちょいっと手招きした。
波奈がおずおずとこちらに向かって、ちょこんと座る。

「身体は平気?痛くない?昨日は俺も余裕なかったと思う。ごめんな」

「う、ううん…だいじょぶ、です」

膝に置いている震える手を、ぎゅっと握りしめた。
冷たい。波奈はびくんと身体を震わす。

「ーーーうん、ぴったりだな、サイズ。いや、ちょっとでかいか…?お直しできるみたいだから今度行くか」

「う、うずいさん、これ、」

「あの日、記念日のとき、お前にプロポーズしようとしてた」

波奈がピタリと固まった。

「良い返事が聞きたくて、仕事もいい契約とりたくて必死こいて、お前を安心させたくて…。きちんと婚約をすれば、胸張ってお前を正々堂々抱けるって。ま、俺なりの教師としてのけじめのつもりだった。
結果的にお前を不安にさせたことは、本当に悪かった」

はらはらと波奈の瞳から涙が溢れる。
ぐすぐすと手で涙を拭うが、涙は止まらなかった。
擦ると腫れるぞ、とそれを辞めさせて、手をギュッと握った。

「波奈、俺はお前のことを、前世からすきだよ。
今度こそお前と夫婦になりたい」


波奈の左手の薬指に輝くシルバーの指輪をなぞった。
大粒のダイヤモンドが、窓から入る朝日に照らされ、キラキラと光を放っている。

そこに、ぽたりぽたりと涙が落ちていき、
ダイヤモンドに照らされた涙が、派手で綺麗だなと思った。

「…う、ん…っわたしも、…うずいさんと、…夫婦に、なりたい…っ」

嗚咽を含みながら必死にするいらえは、俺をどうしようもなく幸福に導く。波奈をこれでもかと力強く抱きしめた。
ありがとう…そう言うと、波奈はまた泣いた。
波奈泣きすぎ、脱水になるぞと呆れながらその涙を拭う。


「んじゃ行くか、お前着替えてこい」

「へ…?どこへ…?」

「墓参り!お前のばーちゃんに派手に報告する!」

そう言って俺はソファーから立ち上がった。

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