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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第25章 前世から※【宇髄天元】



この世にはたくさんの人で溢れてる。
前世から好いた人に会える保障などない。

だったらもう好き勝手にしてやろう。
うん、あの女は少し優しい目元が似ている。
あの女は小柄なところと体型が似ているかも。
そうやって自分を誤魔化して適当に生きていた。

『天元って本当はわたしのこと好きじゃないよね』
『身体だけでしょ?』
『抱いといてすぐ捨てるなんてひどい』

あぁそうだ。本当に好きなわけではない。
抱いてと縋ってきたのはそっちだろうが。

波奈の代わりを求めて、波奈の影を追って、波奈以外の女を抱いても俺の隙間は埋まることはなかった。

ようやく波奈に会えて、世界で一番愛しく思う相手に、齢23にして初恋とかほんとーに笑える。
大切にしすぎてとうとう身体は一つにはなれなかった。
もうこれで終わってしまうのだろうか。


「……さん、宇髄さんっ…」

波奈の声がする。
あぁ、いるはずのない波奈の声。
俺はとうとう幻聴が聞こえるようになってしまった。

「…宇髄さん、大丈夫ですか?」

心配そうな波奈の声が遠くで聞こえる。

ゆっくりと目を開けると、ぼんやりとした視界には、会いたくて仕方なかった彼女が俺の目を見つめていた。

「…宇髄さん、」

「波奈!」

ガバッと起き上がりその腕を掴むと、波奈はビクッと怯えるように震えた。
ガンガンと頭が割れるように痛い。ぐっと頭を抑える。
そうだ、今夜、不死川と呑んで、それから…それからどうしたんだ?

「…宇髄さん、頭痛い?お薬飲む?水持ってきましょうか?」

「…波奈、…」

「う、宇髄さん痛いよ…」

「…あ、わりぃ」

波奈の腕を掴んでいた手をゆるりと力を抜いた。腕は離してやらない。またどこかにいかれると思ったから。

「…薬とお水持ってくるから、離して…」

「いらねー」

「え」

「波奈がここから離れるならいらない」

波奈が困ったような顔をした。

「…し、不死川先生から連絡があって」

「うん」

「家知らないから迎えに来て、って…」

「…あっそう…」

波奈がここに住むまでは、不死川は何回も来たことがある。
俺と波奈を会わすため、不死川がしたことだとすぐにわかった。
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