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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第21章 禁欲の果てに※【宇髄天元】


「彼女にプレゼントですか?」

ガラスケースに並んである数ある品物をじっと見つめていると、すかさず店員が近づき声をかけた。
店員は黒髪をきちっと後方にキュッと結び、清潔感ある印象でメイクも完璧で赤い口紅が良く似合っていた。にこりと笑みを見せる。

「…はいまあ」

右手で顎を掴み返事もテキトーに、むむ…と頭を悩ます。

「このピアスとネックレス、見せてもらっていいですか?」
「かしこまりました。こちらシンプルですが上品で、毎日でもお付けできるデザインで人気なんですよ」

店員がショーケースから、白い手袋を付けた手でそっと見せてくれた。
ピアスはあいつ耳に穴開いてないから無理っつーことで消去法でこのネックレス。
シンプルと言えば聞こえが良いが、少し地味な印象だ。
いやけど、あいつにはこの地味だけどキラッと光る一粒のダイアが映えそうだし、毎日付けてくれるのなら飽きがこないだろうけど。
俺はますます頭を悩ませる。

「…うーん」

と悩む俺に、店員は助言する。

「同じデザインの指輪もございますよ」

にっこりとしてその横の指輪を、また手にとり俺の目の前に置いた。シルバーの、シンプルな指輪がコトンと置かれる。

「…いや、指輪は、」
と言いかけてまた頭がぐるぐると悩んできた。
いや指輪?!いやいやいやそれはまだ…早いと言うか。
地味に重いでしょ。なんせ付き合って1ヶ月。

「素敵な彼氏からのプレゼント、きっと喜ばれると思います」

と完璧なプロの笑顔を見せつけてくる。

「…ちょっと、考えます」

百貨店のジュエリーブランドを出る頃にはぐったりしていた。
この俺がこんな優柔不断にも思い悩むとは…
ふらふらと百貨店を出ると、5月の春の暖かい風が心地よく身体を撫でる。
もうすぐ日が沈む頃の、夕方から夜にかけてのオレンジ色の街。
ぽつぽつと街灯が灯っていた。


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