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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第18章 宇髄先生とわたし -出会と恋慕- 前編



宇髄先生の車の助手席から見る、先生の車の中は、先生のプライベートが垣間見えるようで1人でに胸が高まる。

さらに、雨に濡れるからと言う理由で有無を言わさず羽織らされた、宇髄先生のパーカーから香ってくる先生の匂いで、くらくらと目眩がしそうだった。
ザーザーと激しく振る雨は、ワイパーの速度を加速する。
宇髄先生は波奈の家の道順を聞きながら車を発車させた。

学校から自宅までの通い慣れた道は、先生の車に乗っているだけで景色が違うように思えた。

このまま時が止まれば良いのに。
そんな不純な想いが加速する。
が、すぐに自宅に着いて無情にもその願いは綺麗に消え去った。

「…今日は悪かった」

「いえ、それは、わたしが時間を忘れてしまって、」

「それじゃなくて、…ま、いいや。じゃあ月曜日」

今日は金曜日。そうか、先生には、週末は会えない。
悲しい気持ちが胸をつく。

「はい、送っていただいてありがとうございました」

「ん」

と言って、先生は車を発進させた。



あ、パーカー!
着たままだ…!

ぶかぶかのパーカーを先生に返し忘れた。

「…」

でもいいか、週末は梅雨間の晴れマークが出ていたし、洗濯して月曜日に渡しに行こう。会える口実が出来たことが、波奈の月曜日を楽しみにさせた。
波奈はぶかぶかのパーカーの袖を、ぎゅっと握った。

先生のことがやっぱり好きだ、と思う。
たぶん出会ってからすぐに惹かれた。
綺麗な赤い瞳の先生。

この恋が成就することはたぶんないんだろうけど、
いや、あるはずはないんだろうけど。
もう少しだけこの気持ちを胸に秘めておこうと思った。
いつかはこの気持ちに、終止符を打たなければならないとしても。
もう少しだけ。先生を想っていたい。
想っていてもいいですか、宇髄先生。

波奈はもう一度、今はもういない、先生の車が走り去った道をぼんやりと眺めた。




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