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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第18章 宇髄先生とわたし -出会と恋慕- 前編


それから波奈は何かに理由をつけられては、美術準備室へ用事に行くようになった。
美術の授業の前日はもちろん、授業の片付け、更には宇髄先生の美術用品の片付けなど、やることはたくさんあった。

そんな働き者の波奈に、宇髄先生はコーヒーを出したり、雑談したりするようになった。
宇髄先生は生徒と距離が近いのかな、と始めは思っていたが、波奈は宇髄先生と話すことがとても楽しくて楽しみで居心地が良くて、大好きな場所だった。
先生の生い立ち(お父さんと剃りが合わず家出同然で飛び出して美術の道へ行ったり)を聞くのは、世間知らずで平凡な家庭の平和な波奈にとってはとても興味深かった。
たまに個展をやるそうで、あとでネットで名前を検索すると、その界隈では結構な有名人らしくファンも多数いるようだ。

あと、宇髄先生はものすごくモテる。
放課後はつねに女生徒に絡まれ
『テンちゃーん』とその語尾を甘ったるくさせ、宇髄先生に絡みつく生徒たちを何回も見かけた。
考えてみれば、背も高く端正な顔立ちで、ラフな格好でノリも良い宇髄先生はとても親しみやすく、生徒たちの人気者ではないはずはないのだ。

美術準備室で用事をしていると、上級生であろう美人の女生徒が、
『テンちゃんあれ誰?』と波奈をじとっと睨むように見られた。
波奈はびくっとしておろおろしてると、宇髄先生が
「俺の担当〜」と波奈の肩を組まれるので、波奈は顔を赤くさせて抵抗した。
『テンちゃんの担当?わたしもなりたーい』
「お前はだめー」『なんでよー!』
上級生と宇髄先生は仲良さそうに言い合いをしている。
波奈はもう居た堪れない気持ちになり、
「宇髄先生!もう終わりましたので失礼します!」
と思いっきり声を出してぺこりとお辞儀し、美術準備室のドアを開けて逃げるようにその場を後にした。
後ろで「あぁ、ごくろーさん」と聞こえたけど、波奈は振り向かなかった。

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