第25章 彼女の悲鳴
あの後、ユキの精神の乱れからか、ユキが何もすることなく元の桜の木のある場所へ戻ってきたエースとユキ。
「・・・っうっひっく・・・・ひっ・・っく・・ユウ・・・ユウ・・・」
涙の止まらないユキを、エースはその腕に閉じ込める。
「・・・・・ユウ・・・ユウっ」
何度も何度も弟の名を口にするユキに、腕に力を込めたエース。
「・・ユウは、お前が、好きだったんだ」
「!・・・っそん、なのっ知ってる!!!!!!」
「・・・・・そうか・・・・だったら、なんでユウが逃げなかったか、わかるか」
そう問いかけると、ユキはエースの胸の中でこくりと頷いた。
「・・・・だけどっ私はっお姉ちゃんなのにっ!!!・・・弟をっ守れなかったっ!!!」
わんわんと泣き出すユキの背中を優しく撫でてやる。そして優しい声で諭すように話す。