第23章 弟の本心

「・・・で、なんのようだ」

少し離れた場所まで行くと、弟『ユウ』は嫌そうに口を開いた。

「・・・うちの姉を助けてくれたみたいで。礼を言う」

「・・・礼を言われることはしちゃいねぇ」

そんな話をするためにわざわざ連れ出したのか、と片眉をあげるエースだが、妙に真剣そうな弟の表情に訝しむ。

「・・・・・・あんた、ユキと一緒に未来から来たのか」

ぽつり、とその重い口を開くユウに、エースは眉を寄せた。

「・・・それが？」

「・・・・・・・俺は、ユキが好きだ。昔から」

「？姉弟じゃねぇのか？」

「義姉弟だ」

ああ、さっきの違和感はこれかと納得するエース。どう見ても姉に向けるものではなかった、あの表情。惚れた女に向けてたのか・・・。

「・・・・・・で、それを伝えて、何になる」

「・・・頼みがある」

ユキに手を出すなと言われるかと一瞬身構えたが、目の前で頭を下げる弟に驚く。

「ユキを、あんたのとこで匿ってやってくれ」

「！＿＿＿どういう意味だ」

「・・・・あんたが、未来からユキを一緒に来てんだったら、ユキの能力がどれほど危険なものか、わかるはずだ。あいつは、自分ではできないと言っているが、過去にも、未来にだってやろうと思えば干渉できる力を持ってんだ。それがもし、世間にバレたらどうなる？

・・・いや、すでに世界政府から目をつけられてるっ！！」

「・・・・・ちょっと待て、あいつはできないと言っていた。それがなんでお前にはできるとわかる？」