第19章 それぞれの想い
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「智くん…俺…」
何時もの、潤 んだ瞳を俺に向ける智くん
「俺…教授みたいに大人じゃないし
松本君みたいにお金持ちじゃない
…ビビりで、ヘタレで、撫で肩で…
あ、撫で肩は関係無いか
いや、だから、安月給の只のサラリーマンだけど…
…君のコト、心から愛してる…
…だから、これから先も、ずっと一緒に…
…ずっと俺の傍に居て欲しい」
智くんは、ぎゅっと、俺の手を握り返した
「…プロポーズみたいだね」
「うん…プロポーズなんだ」
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智くんの瞳が、涙を湛えて
きらきらと輝いている
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「智くん…俺と…
一生一緒に居て下さい」
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「はい」
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智くんは、今まで見せたどんな笑顔よりも
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美しく
幸せそうに、笑った
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