第8章 想い人
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潤くんと付き合い始めてから、こんなに長い間会わなかったのは初めてで
僕は、正直不安だった
でも、翔くんと逢う様になって
毎日電話して
毎週逢って
…いっぱい、笑って
僕ってこんなに笑い上戸だったっけ?って思うくらい
毎日が、楽しくて
僕は、自分が置かれてる立場を、忘れてたんだ
翔くんといるのが心地良すぎて
ホントは居たらいけない場所なんだって事を
……忘れてたんだ
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「少し太ったか?」
潤くんが僕の指を擦りながら言った
「…どうかな、自分じゃワカンナイ」
ホントは、ちょっと太ったかなって思ってた
(だって、翔くんがあんまり美味しそうにご飯食べるからさ///)
僕は元々そんなに食べる方じゃなかったけど、翔くんに釣られてつい食べちゃって…
それでこの前
今度一緒にジムに通おうか?
なんて、ちょうど翔くんと二人でふざけ半分話してたトコだった
(……翔くん、今、何してるかな……逢いたいな…)
久しぶりに待ちわびた恋人が逢いに来たと言うのに
気付くと僕の頭の中は、翔くんのコトでいっぱいだった
「………」
「…怒ってるのか?…まあ、当然か、何カ月も放ったらかしじゃ、な」
潤くんは
僕が翔くんの事考えて上の空なのを
放っとかれて、怒ってるんだと思ったらしい
まあ、当然といえば当然で
僕がまさか、他の男の事考えてるなんて思うはずがなかった
(どうしたんだろう僕ったら……
……せっかく久しぶりに、潤くんが逢いに来てくれたって言うのに……)
そうは思っても、何故か頭に浮かぶのは翔くんのコトばかりだ
「…………」
「…いっぱい、愛してやる約束だったな」
黙り込む僕の腕を引いて抱き寄せると
潤くんがニヤリと笑った
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