第15章 相愛
それからの時間は、リヴァイ兵士長の指示で立体機動の訓練に参加した。壁外調査での負傷者や死者により、ずいぶんとがらんとした印象の訓練場は、見るに悲しかった。
「ナナ!もうすっかり立体機動も使いこなしてるね!」
後ろからナナバさんが声をかけてくれる。
「ナナバさん!」
飛び回る私に容易に私に追いついたナナバさんは、いつも通りのさわやかで涼やかな目で私を見た。
「今回の壁外調査はお留守番だったみたいだけど、次はもう行けそう?」
「はい!」
私とナナバさんが話していると、ミケさんもやってきた。
「ナナ。」
「ミケさん!お疲れさまです!」
壁外調査でも、負傷者名簿に彼らの名前は無かった。さすが指折りの実力者と言われている人たちだ。それほどの強さをもってしても、訓練に余念なく取り組む姿は新兵の憧れの的だ。
「あれ、珍しいね。はは、リヴァイの真似かい?可愛いね。」
ナナバさんが私のクラバットを指先でさらりと風になびかせた。すると、ミケさんの鼻がスンっと鳴る。
「ナナ―――――――――――!来て!怪我人が出た!」
「あっ……はい!!ミケ分隊長、ナナバさん、失礼します!」
二人に一礼をし、遠くから聞こえた声の方に、私は飛んだ。
「………………。」
「どうした?ミケ。」
「………ナナから、リヴァイの匂いがする。」
「…………ふーん……。やっぱりじゃないか。なにが、“空への憧れだ”だよ。」
ナナバはにやり、としてやったり顔で笑った。
「………いいじゃないか。あいつの匂いも、ナナが来てから……変わった。」
ふたりはふふっと笑みを交わした。