第8章 もう絶対蘭ちゃんを煽らないって決めた。
「栞、これやるよ」
「…これ、ワンピース?」
「俺からはこれな?」
「えっ!ヒールまで!?」
竜ちゃんから手渡された紙袋から取り出したのは、とても可愛らしい白一色のスクエアネックのワンピースだった。蘭ちゃんからは大人っぽいヒールを受け取った。
「着せて見せて♡」
「え、でも…これ…高いんじゃ…」
「お前に買って来たんだから、着て見ろって…着ねぇなら他に着る奴いないし、破棄するしかないんだけど?」
「オーダーメイドだから栞以外着れねぇよ?」
「……因みに、どうやってサイズ…測ったの?」
「お前が俺等に抱き着いて来た時とか、後は一緒に寝た時にササッと?」
「手の平にフィットした大きさで気持ち良かったぞぉ?能天気に寝てるお前の事見て苛立ったからちょっと悪戯した♡」
「両方とも完全に不可抗力だしっ!というかそのワキワキする手、止めてよぉっ!」
一体どこ触ったんだ、完全にセクハラだぞ!そうサッとワンピースを抱き抱えて胸元を隠した私は二人を睨む。しかし二人からすれば、子猫の威嚇と変わらない為「可愛いなぁ♡」とニヤニヤ笑って癒されるだけで終わってしまったが。
ーーー
着ろ、着ろと二人から部屋へと押し込まれる。因みに蘭ちゃんから「脱がすの手伝ってやろうか?」と近付いて来られ、あの時の事を思い出してしまい真っ赤な顔で「遠慮します!」とドアを思い切り閉めてやった。そんな蘭ちゃんはドアの前で大笑いしていたりする。酷い、私の事弄んで…そう悔しくなりながら白のワンピースを目の前で広げて見せた。
「凄い、やっぱり竜ちゃん…お洒落さんだ」