第6章 私今日ほとんど寝てる気がする。
「春ちゃん、そろそろ離して欲しいなぁ…」
「うるせぇ、浮気女…お前は俺のものだろうが」
「あぁ、やだやだ…男の嫉妬は醜いなぁそう思わね?」
「全くだわ、栞も言ってやれよ。鬱陶しい、離れろ、邪魔だってさぁ…」
「いいからもう出てけ、お前等何時まで家にいるつもりだよ」
春ちゃんの言葉に、蘭ちゃんと竜ちゃんは顔を見合せて「もうちょっと三途をおちょくってから?」と言った。それに対して春ちゃんが切れない訳もなく「出てけ!テメェ等!!」と火事場の馬鹿力で蘭ちゃんと竜ちゃんを玄関から放り投げるように追い出してしまった。二人はと言えばゲラゲラ笑い声を上げながらドア越しに「また来るわ~」と間延びした声を出している、そんな二人へ、ガンッ!とドアに蹴りを入れた春ちゃんは苛立ちながら頭を掻きむしっていた。
ーーー
「春ちゃん…眠くないの?」
「眠くない」
「お仕事疲れたでしょう?寝て来ていいよ?」
「やだっ…」
今日の春ちゃんは私に抱き着いて離れない。グズるように私を後ろから抱き締めて私の肩へと顔を預けていた。そのままソファーに腰掛けているから、私自身も身動きが取れず困ったなぁ…とテレビのチャンネルをポチポチと変えて見る。この時間はニュースばかりだから見るものないなと時間を見ればお昼過ぎになっていた。
「春ちゃん、ご飯は?」
「いらねぇ…」
「そっかぁ…」
春ちゃんがいらないなら仕方ないね、私も朝にケーキ食べたからお腹いっぱいだし。そう残りの仕事で何かする事はないかと考えて、今の所は暇だしと春ちゃんの方へ顔だけを向き直し声を掛けて見る。