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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第4章 あ~あ…俺何かに捕まって可哀想に♡


「おい、さっきの奴どこに行った!」
「まだ近くにいるはずだ、くまなく探せ!」

今日はまた随分と外が騒がしい、薬が切れてイライラしていた俺は大きな舌打ちをしながら普段は絶対に通らないであろう路地裏を歩いていた。その時誰かが息を殺して蹲っているのが視界に入る。先程から騒がしい原因はコイツか?と言っても特に助ける理由もねぇしな、なんて考えに至り通り過ぎようとすればふとその雰囲気に違和感を覚えたのだ。甘いケーキのような柔らかな匂い…艶のある綺麗な髪、骨格がほっそりとしており、きっと触れただけで折れてしまいそうな白くまるびを帯びた肌と体に釘付けになった。いや…有り得ない。そんな訳。そう思いたいのにまるで花に誘われた虫のように、そちらへと吸い寄せられゆっくりと近付いた。小さい体をもっと縮ませて蹲るその子に、俺は声を掛けずには居られなかった。なるべく怖がらせないように体を屈ませて、華奢なその子を見つめ声を掛けて見る。

「はっ…?えっ、お、女の子…だよな?」

ビクリと大きく肩を震わせる、おずおずという様子で顔を上げた女の子に…目を奪われ息をするのも忘れた。透き通った肌、さらりと流れる手入れのされた艶のある髪、長いまつげが色白の肌に濃い影を落とし、星を散りばめたようなキラキラした大きな瞳、ぽってりとした魅惑的な唇。まるで一枚の絵画のような、この世に存在するのかと疑いたくなる程の雰囲気を醸し出していた。本当に生きているのかと疑いたくなる程の女の子だった、驚きと興奮でポカンと口を開けた間抜けな俺は、酷く混乱しながらも上から下へ視線を向けてからやはり性別は女であり、女装した男ではないとはっきり分かった。
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