第5章 組分け帽子
孤児院での生活は飢えはしないものの、量はたくさんと言うほどなかった。ミス・メアリーが目を光らせている間は、ミラは満足に食事をしたことがない。
ハリーの家でもそれは同じで、二人は今までお腹いっぱいに食事をしたことがなかったし、二人はハッカ入りキャンディー以外の食べ物を少しずつお皿に取り食べ始めた。
「美味しいね、ハリー」
「うん、とっても。ダーズリーの家よりすっごく美味しいよ!」
二人は食事を大いに楽しんだ。今まで食べたことないものが多く、ミラはすでに二切れ目のステーキに夢中になった。そこへ、グリフィンドール塔のゴースト、ニコラス・ド・ミムジー、ポーピントン卿が現れた。
ロンに『首無しニック』と言われ、「『首無し』? どうして首無しになれるの?」と、シューマス・フィネガンに話を邪魔され、腹立たしげに自分の左耳を掴んで引っ張った。
頭が首からグラッと外れ、蝶番で開くように肩の上に落ちた。
「うわぁ…」
と、誰かが声を漏らした。ニコラスは少しは機嫌が直ったのか、今年こそグリフィンドール寮に優勝杯をとて欲しいと言っていた。ニコラスがスリザリンのゴースト、『血みどろ男爵』の事を話すと、ハリーとミラはスリザリンのテーブルを見た。
身の毛のよだつような、うつろな目、げっそりとした顔、銀色の血でべっとりと染まった衣服のゴーストがドラコの隣に座っていた。嫌そうな顔をしているのを見て、ハリーはなんだか嬉しそうだった。
と、突然ドラコと目が合い、ミラはそらすタイミングを見失った。ハリーはすでに食事に戻っていて、ミラはどうしようかと思っていると、ドラコはこちらを睨みつけるように見てきた。
「どうしてこなかった?」と言いたげな顔だった。ミラは分からないといった素振りを見せると、ドラコから目を外した。
お腹がいっぱいになった頃、次はデザートが出てきた。いろんなアイスクリームや果物、ハリーとミラは顔を見合わせてデザートに手を伸ばした。
もうお腹がいっぱいのはずなのに、二人は食べる手を止められなかった。