第1章 ぽっちゃり彼女
のっけからこんなことは言いたくないが、私はデブだ。
「えっ、50kg以上ならデブじゃないの?」
「ウエスト60cm以上あったら太ってるだろー」
そんな男共の声に何度涙を流したことか。
ダイエット?してるっつーの!
でもね、体質ってあると思う。ご飯のカロリーを1日1000kcalにするダイエットを1年続けたこともある。
ぶっちゃけて言えば、今の体重はその努力の賜物だ。
ふふ…前はもっとあったのよ。
でもね!でも…人間だもん、食べたい時だってあるし。
飲みたい時だってあるの。甘い物だって堪能したい。
女の子だから、体重が落ちにくい日とかもあるし。
その結果…痩せないの!
運動は…好きじゃないって言うのもあるけど。
インドア派で、理系の脳ミソの私は出来ればのんびりしていたい派だから…。
考えてみれば、小さい頃から他の子より5kg以上重かった気がする。
大学の学費を自分で稼いで出している身の上としては、どうしても不摂生が積み重なって…大学1年の後半はヤバかった。もう…ズボンとか一生履けないかと思うほど。
でも…それでも、一年近い健康的なダイエットのおかげで、アウトレットでショッピングが出来る体型にはなった。
そのせいかどうかわからないけど、彼氏も出来た。
超、がつくほどのイケメンな彼氏。
黒い短めの髪。切れ長の瞳に、小さな顔。
少し低めの声。
身長はたぶん180cmを超えていて。
腰は女性が羨むほど細い割に、上半身はかなりしっかりと鍛えられていて。
細マッチョと言うやつで、イケメンな…檜佐木修兵。
現在、社会人2年目の…私の彼氏。
「美穂子、なんで選ばれたんだろうね」
なんて言葉はよく聞く。
そりゃそうだ。
もっと美人の彼女がいたっておかしくない。
ましてや、こんなデブじゃ…ね。
今日も、私の悩みは尽きない。