第70章 妖魔軍王とバニーガール
マルティナの胸の中で甘ったるい匂いにぼーっとする。
意識はあるがハッキリとしない。
やらなければならないことがあるのに何をすればいいか分からない。
今、自分が置かれている状況が何となく分かるのに一大事だということに気づけない。
「あなたもブギー様のものになってしまえば全てどうでも良くなるわ?」
マルティナの優しい妖艶な声が降ってくる。
「ブギーの…もの?」
サランの瞳からまるで生気が段々と消えていく。
それはハッキリしていた思考回路のように緩やかに消えていく。
「そうよ?それに、あなた間違えてるわ。
ブギーさまよ?様をつけなさい。
あの方のお傍に仕えれば全てどうでも良くなるわ」
「ブギー…様…?」
「そう、ブギー様よ?
サラン?あなたが仕えるべきなのはブギー様ただ一人」
「私の…仕える方…ブギー様…?」
「そう、あなたのご主人様♡」
「ブギー様…私の……ご主人…さ…ま
ブギー様…」
ブギー様と唱え始めたサランの頭を優しく撫で微笑む。
頭でなっているはずの警鐘がモヤに隠れているかのように感じる。
(なんで、私はマルティナさんと戦っているんだっけ?
まぁ、いいや。ブギー様…に仕えなければ…だっけ?)
生気が完全に消えそうになった時、カランと短剣が手から離れ地面に落ちると乾いた音となり響く。
「…らん…らん!サラン!」
誰かが自分の名前をよんでいる気がした。
「ちっ…うるさいわね…あのおかま!」
マルティナの怪訝そうな声もぼんやりとしか聞こえなくなっていった。