第4章 *グロリアスマスカレード*
『(や..逃げないと)うっ..』
立ち上がろうとするも足に力が入らず、今にも倒れ込んでしまいそうなほど魔力も体力も奪われかけていた
ロロ『哀れな兎だ..』
小さなため息一つ吐くと、杖を構え部屋の奥へと魔法を放つ。両手サイズの火球が生まれ、それは床に落ちずにその場でフワフワと浮き始めた
すると紅蓮の花の矛先がから火球へと変わり、一斉に奥の方へと増殖し始める
『はぁ..はぁ..っ!!』
コツコツと近づいてきたロロはその場で膝をつくと、片手で俯くの顔をグイッと上げさせた
ロロ『こんなものは捨てたまえ。もう、必要なくなるのだから』
もう片方の手でマジカルペンを取り上げると、部屋の奥へと放り投げる。無機質な音を立てて転がっていくペンを追いかけようとするも、体は言うことを聞かない
ロロ『心配するな、花に吸われるのは魔力のみ。目が覚めればただの人間として生まれ変わる。君たちにとって悪いことではない..寧ろ幸福なことなのだよ。
これは救済だ。魔法に溺れる愚かな君達を救うための唯一の手段だ』
『ち、がう..魔法は、悪い、ものじゃない。みんなを笑顔にできる、誰かを助けられる。悪いのは、魔法で誰かを傷つける人、泣かせる人』
ロロ『誰かを傷つける..』
"お兄さま.."
ロロ『っ!!黙れっ!!』
『ゔ..っ!』
掴んでいた手が勢いよく振り払われ、は床に倒れ込む。激昂に歪む表情はどこか悲しみを纏い、震える拳を握りしめ何かに耐えているようにも見えた
ロロ『私は何も間違っていない!哀れなお前たちを救おうとしているだけだ!魔法など..魔法などこの世から消え去ってしまえばいい!』
『っ、痛っ..ゃ..やめ、て..っ』
伸ばされた手がの耳をまとめて掴み上げる。ギリッと握られ、鋭い痛みが先から付け根まで走る
ロロ『魔力を失うのがそんなに嫌か?なら、お前だけは僅かに残してやってもいい。私ならこの花を何とか出来る方法を知っている。その代わり..
お前は私のものになれ』
『ぇ..』
ロロ『身も心も全て捧げて、私だけの兎になると誓え。嫌なら花の中へと投げ込んでやる。
さあ、選べ!!
私か、魔法士としての死か!!』