第5章 契約
『盛長さん、着物ありがとうございます』
「お気に召して頂けて光栄だよ
よく似合ってる」
『あ、ありがとうございます…』
(ただでさえイケメンなのに
こんなこと言われたら流石に照れる)
盛長が買ってくれたあまり目立ちそうにもない
一見シンプルな着物だが
素材は一級品である鎌倉時代の着物を
身につけるとここで言う未来人には見えないだろう
「まぁ、これで怪しくはねぇだろ」
「狐は憑いてますけどね」
「虫がついてるように言わないでもらおうか」
「あーもう、アンタらが1番目立つんですよ」
(なんか賑やかだなぁ)
先程の凍りつくような
出逢ってばかりに魅せられた殺気とは
打って変わった雰囲気についていけない
「で、お前は結局どこから来た」
『え?ええと…兵庫県です』
「ひょーご?どこなの?」
『あ、やっぱりまだないですよね
なんて言ったらいいのかな
地図があればわかると思います…多分』
「突然ここにとばされたと言っていましたが
理由に心当たりは?」